台本を劇団に提出して、ホールで待たされること30分・・・
スタッフの方に誘導されて何人かの審査員の先生と子供を含む何名かの人が入って来られた。
その中には先ほど渡された宣材写真の役者さん4名も入っている。組によって役者さんも違うようだ。
手には台本らしきものを持っている。
スタッフの方の説明によると、「これから審査員の先生方の前で皆さんの書いた台本で役者さんに演技演出を付けて下さい、各自持ち時間は20分程度。完成を目指しますが、完成しなくても問題ありません。皆さんの指導方法を見させてて頂くのが目的です」との事・・・
私の順番はちょうど真ん中の3番目。
最初の組を見学しながら、自分の作戦を考える・・・
いずれの組も4人の設定を家族や兄弟の話で本が書かれているようだ・・・みな緊張している。
そして私の番が来た。最初に役者さん達に自己紹介をして稽古に入る。
まずは最初の5~8分間は台本の説明をし役柄を伝え、次に座ったまま台本を持ち読み合わせをする。
読み合わせの段階で少しイメージを伝え、直しを(ダメ出し)入れていよいよ立ち稽古に入る。
残り10分・・・多分、全部は作れないと思いサビ(クライマックス)のところだけを形にする事にした。
台本を持ちながらの稽古なのだが、驚いた事に子供達は台本を手放している。
全て自分の台詞が入っているのだ。子供ながらプロ意識を持って稽古に臨んでいる事に圧倒させられる。
大学時代の演劇部の稽古とはまったく違う空気間を感じ、これがプロの世界だと思い知らされた。
汗だくの20分が終わり本当にいいい経験をさせて頂いたと思う。
あれから一年後の春・・・
劇団の就職審査の会場で、私は演出部として審査員側の席に座っていた。
あの時の自分を遠い目で見るように思い出しなら、自分より年下の若者達が汗をかきながら一所懸命に動きまわる姿を目で追っていた。
完・・・・
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