お向かいのYOUちゃん

お向かいのYOUちゃん

数日前の夜、家のインターホンがが鳴り出てみると、お向かいのYOUちゃんご夫婦が玄関前に立っています、神妙な顔つきをしているので「何なに、どうした?」

YOUちゃんは2つ年下の幼馴染、小学校の頃は一緒に野球をしていた仲間、中学校も同じで地元に残る数少ない幼馴染です。家もお向かい同士で、これから先この地でお互い歳を重ね老いて行くのだろうと思っていました。

「いっちゃん(僕の呼び名)、実は引越しすることになりました」

「えーなんで・・・」

「子供達も結婚して家を出て、夫婦二人ではこの家が大きすぎるのでマンションにでも移ろうと前々から考えていて、ちょうどいいタイミングで良い物件が出たので引越しを決めました」

「それでいつ・・・」

「11月24日」

「すぐじゃん・・・なんて寂しいこと言うの」

「そうだよねー、いっちゃんとは沢山想いでもあるし・・・居心地のいい町だし・・・でも色々考えた末なんだよ」

つい先日まで、「今度、久しぶりにキャッチボールでもしようか・・・」なんて話していたのに・・・あまりに近くにいるので、いつでも話が出来ていつでも出来ると思い、仕事の忙しさにかまけて後々に延ばしていると何事も取り返せない所にいって仕舞うものだと痛感しました。

「いっちゃん、これまで色々ありがとうー」そう言って右手を差し伸べて来ました。僕はその手をしっかりと握るとその上に左手を重ねてきます。僕も併せて左手を重ねると頭を下げたまま二人は顔を合わせる事はなく無言で下を向き握り合うお互いの手を見つめ合っていました。

長い沈黙のあと「ありがとう、いっちゃんもお元気で」

「こちらこそこれまで沢山ありがとう、体に気をつけて」

いつでも会えると思っていても街を出たらばなかなか会う事が出来ない事は十分承知しています。

YOUちゃん、体に気を付けて素敵な未来を見つけてください・・・

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